2024/09/01

Ugly Hookahのレビューもメドが立ったので、今度はTrifecta Dark Blend(以下TFD)のレビューをすることにした。
とりあえず7種類ぐらい試してみて、TFDのザックリした特徴は掴めたと思うので、今回はそれについて書こうと思う。
Trifecta Dark Blendの概要
Trifecta Darkは、flue-curedのダークリーフをサトウキビのモラセスに漬け込むという、昔ながらの製法で作られたフレーバー。
ちなみに、ダークリーフとは、fire-cured(小屋の中で焚き火をし、その熱で天井から吊るしたタバコの葉を乾燥させる方法)や、flue-cured(小屋に鉄管を通し、鉄管を熱くすることで乾燥させる方法)されたタバコの葉の総称である。
モラセスは、サトウキビやテンサイから砂糖を精製した後に出る副産物である。自分はお菓子作りをするのでモラセスが家にあったりするが、まぁ少し薄い黒蜜のようなものと思ってもらったら良い。
パッケージ
一重のビニール袋の中にフレーバーが入っており、それがスクリューキャップのボトルに入っている。
割とシッカリしたビニール袋で、シロップ漏れなどは無い。100gと250gのパッケージがある。
こんな感じ。
非常に重要な注意点
パッケージには何も書いてないが、Tangiersと同じように、開封したら大きく広げて半日~丸一日ほど放置した方が良い。
自分はTFDとTangiersはジップロックコンテナに移し替えている。下の画像のように広げた状態でたまに底の方からかきまぜて、半日~丸一日ほど放置している。
ただ、この操作をする必要のないフレーバーも半分ぐらいあった。また、空気に晒す必要があるフレーバーでも、半日で良いものと丸一日ほど必要なものとがあり、バラつきがあった。
とりあえず今のところ試した中では、Lychee、Pineapple、Lavender Mint、Pulp Friction、このあたりは空気に晒した方が明らかに煙の調子が良かった。
もっとも、製造されてからどれぐらい時間が経っているかなど、個体差の可能性もある。生の状態で嗅いでも違いが分からなかったので、吸って判断するしか無いと思う。
開封直後に吸ってみて、胸骨の裏あたりの気管支にキリキリとした痛みを感じたら、空気に晒す必要があると思えば良い。この痛みは非常に独特で、焦げた煙で痛みを感じる部分よりも奥の方に来る。
Tangiersは空気に晒す時間が足りなくても変なニオイがするだけだが、TFDは空気に晒す時間が足りないと気管支が痛くなる煙が出るため、吸うのがかなりキツい。非常に厄介。
シロップの量とカット
フレーバーごとに大きくバラつきがある。
Tangiersより少し大きいぐらいのカットのもの、3cmの細い茎や丸まった葉がゴロゴロ入っているもの、色が明るめの茶褐色でタバコ的に軽めのもの、SBV以上にシロップが多いものなど、色々あって一概に言い切れない。
大半は3cmぐらいの細い茎が入ったシロップ少なめのものだったので、以下はそれを基準に書く。
シロップの量はTangiersと同じぐらいで、そこまで多くない。おおよそAFの250グラムのパッケージと同じぐらいか。シロップの粘稠度は高めで色は黒い。
タバコの葉のカット自体は細かめでAFの50グラムのパッケージと同じぐらいだが、ちょいちょい3cmぐらいの細い茎が入っている。カットはイマイチで、毎回ではないが必要に応じて自分でカットし直す必要がある。
あと、たまに細い糸くずのようなものが入っている。何となく見つけたら取り除いているが、取らなくても影響なかったので無視して良い。
左から、TFD、Tangiers Noir、AF 50gパッケージの順。
煙の量や質
上で注意点にも書いたように、フレーバーによっては開封してから空気に晒す必要がある。この操作を怠ると気管支がキリキリと痛くなるような煙の質になって、吸うのが困難なレベルでキツい。
この操作をシッカリ行っていることを前提に書くと、煙の質と量はなかなか良い。
Fumariのようなモッタリ感は無いが、AlchemistやAFと比べるとウェットさが少し強い。SBVやFS Castroより少しサラッとしている程度で、調度良いシットリ加減の煙。
そこまで高温に耐えるフレーバーでは無いが、Kaloud Lotusを使い慣れているのであれば、煙の質と量を両立させるのも難しくない。
空気に晒す操作さえシッカリできていれば、楽しめる煙の量と質。
タバコ的な重さ
そこそこ重め。タバコ的に重い順に並べると、以下のような感じだと思う。
Nirvana>>Tangiers Noir>FS Castro>>TFD=Lavooの白いボトルのシリーズ=Tangiers Birquq>SBV>AF
SBVが吸えるのであれば、まぁ問題無いだろうな、というぐらいの重さ。
安定感や香りの持ちについて
Earl Greyを除き、安定感はまずまず。良くあるウォッシュドのフレーバーと同じぐらい。
他社のダークリーフと比べるとやや高温に弱い印象だが、Kaloud Lotusを使い慣れているのであれば、Earl Grey以外は火の調節で苦労することは少ないだろう。
香りの持ちは他社のダークリーフのフレーバーと同じぐらい。普通。
フレーバーの傾向
たまに変な商品名のフレーバーが混じるが、今のところ強く人を選びそうなものはPulp Frictionぐらいで、基本的にはゲテモノっぽい香りが少ない。
他社には珍しいLycheeがあったり、Blueberryも他社には珍しい華やぎのある香りだったりと、ちょいちょい特徴があって面白い。
また、Grape MintにSpear Mint系の香りが入っていたり、BDHのようにWatermelon系とMelon系のMixにCream系のテイストが足されていたりと、Mix系にもゲテモノ方面に逸脱しない程度に他社と差別化されたオツな工夫が感じられる。
ダークリーフの香りも全体に有機的な奥行きを与える程度で、TagniersやFS Castroのようなベースの香りの強い主張は無く、エグさやクセが無い。
ダークリーフを使っていることによるベースの香りが控えめで、フレーバー自体も基本的にアメリカの会社っぽい香りが多い。SBVやFS Castroと比べると少し大人しめと言うか正統派。
作り方について
上のシロップの量とカットの項でも書いたが、TFDはフレーバーによってカットやシロップの量が大きく違う。
大半はTangiersより少し大きいぐらいのカットでシロップ少なめのものだったので、以下はそれを基準に書く。
コツは圧縮して詰めること。
開封後の空気に晒す操作で何度もかき混ぜることになるため、フレーバーが良くほぐれており、シロップが少なめなのも手伝って体積の割に重さが無い。
おおよそ、AFが10.0グラム入るボウルであれば、8.5グラムぐらい詰めるのが良いと思う。と言うより、これぐらいしか入らない。
良くほぐして詰めると、AFが10.0グラム入るボウルに6.0グラムぐらいしか入らなかったりする。これでもピーク時の香りや煙の濃さには問題ないが、流石にトータルで見た時の香りの持ちもピークの持ちも悪い。
目分量で詰めてみたら、思った以上にグラム数が足りてないことがあった。慣れるまではグラム数を量りながら詰めるのが良いだろう。
フレーバーをカットし直す作業は基本的にやらなくて良いことが多い。大きな葉が目立つ場合はそこだけハサミでカットする。
あとはフレーバーの表面がKaloud Lotusの底やアルミホイルから3~4mmほど離れるように、押し付けながら圧縮して詰める。
火の調節について
ダークリーフのフレーバーだが、AB OriginalやSBのスタンダードラインと同じぐらいの感覚。
コツがあるとすれば、最初に全体に火を回してからフレーバーをひっくり返し、弱めの火加減にして吸い始めることぐらいか。
一応、フレーバーによっては生煮えだと煙の質がイマイチだったので、この操作をする方が無難。ただ、やらなくても大丈夫なフレーバーもあった。
Coco Landの新品2ピースと補助の炭2ピースを入れたKaloud Lotusを乗せ、ファンを1/2ほど閉じた状態で5~6分ほど蒸らし、ゆっくりと吸って煙と香りの出の様子を見る。このへんの蒸らし時間は室温に少し左右される。
この時点で煙と香りの出が良いようであれば、Kaloud Lotusのファンをどけて普通に吸えば良い。
物足りなさや違和感があればKaloud Lotusをどけて中のフレーバーをひっくり返し、さらに1~2分ほど蒸らすか何度かゆっくりと吸ってみる。この場合も、普通に吸い始めるときにはKaloud Lotusのファンはどけて弱めの火加減で維持する。
なお、個人的には普通に吸い始めてから20~25分ぐらいのタイミングで中のフレーバーをひっくり返す作業をして、Kaloud Lotusのファンを乗せて全開から徐々に閉じていくと良いと思う。このへんは好みの問題なので好みに合わせてやれば良い。
個人的な感想
フレーバーによって空気に晒す必要があるのが面倒くさく、この操作が足りないと吸うのがキツいレベルの煙の質になるのが非常に厄介。
開封後に空気に晒す操作が必要なのはTangiersも同様だが、あれは空気に晒す時間が足りなくても少し変なニオイがする程度なので我慢すれば吸える。これは吸うのがキツい。
フレーバー自体の香りも、まだ7種類しか試していないので何とも言えないが、ちょっとお行儀良すぎると言うか無難すぎるかなぁ、という印象。
とは言え、こういう香りの輪郭がハッキリしていてクセの少ない重めのダークリーフのフレーバーというのは他に無いので、そのあたりは貴重。LycheeやLavender Mintなどの珍しい香りがあるのも良い。
AB Stoutのような分かりやすい香りが良いがそれでは重さが足りないし、TangiersやFS Castroはベースの香りが強すぎるし、SBVは何か変わり種が多いし、みたいなことを感じている人に良いだろう。
Mix系に他社には無い工夫が感じられて面白く、空気に晒す時間さえ十分であれば吸いごたえにも満足感がある。何だかんだ楽しんでレビューしている。
コメント
こんにちは。TFDではないのですがALSULTANというフレーバーを使用されたことはないですか?このフレーバー使ってみたのですが、煙は出ないし味も薄いし気持ち悪くなります。一応AFやFumariやzomoは個人的に美味しく作れているとおもいます。ALSULTANも空気に晒すことで気持ち悪さなど抜けるでしょうか。ALSULTANをお知りでしたらなにかアドバイスなどいただきたいです。
by Taisuke 2018年9月21日 6:12 AM
すみません。Al Sultanは何年か前に2-3種類試した程度で、ほとんど覚えていません。
ただ、これといって苦労した記憶も無いので、AFやFumariで出来ているのに不思議だなぁ、とは思います。
ちなみに、空気に晒してもタバコ的な重さが抜けることは無いので、そのへんが理由の気持ち悪さではないのかな、と思います。
役に立たなくて申し訳ありません。
by ダビデ 2018年9月21日 9:05 PM
返信ありがとうございます。使用環境はodumanN2、ハリルマムーン のラージパイプにサムサリスビトリアIIにロータス等で、きちんと赤熱したココナツ炭でよく蒸らして吸っているんですけどね笑 ツイッターで検索してみてもネガティブなレビューが目立ちましたのでもしかしたら地雷多めのフレーバーなのかもしれません。 TFDを空気に晒すのはまた別の理由があるのですね。TFDはオススメされていたIndian kheerとpearfectが気になるので試してみようと思いました。
by Taisuke 2018年9月25日 3:15 PM
うーん。正直、AFやFumariで満足できるだけ出ているのに、Al Sultanだけ上手くいかない理由は分からないです。
少数ですが、Kalour Lotusより陶器のPhunnel系+アルミホイルの方が特徴がハッキリ出るフレーバーはあったりするものの、それでも煙は普通に出るはずなので、なんとも。。。
TFDを空気に晒す理由は主に煙の質の点で、いくつかのフレーバーは空気に晒さないと気管支の奥の方が痛くなることがあるからです。
Indian Kheerは店でも非常に好評で、他社に無い香りながら目立った欠点もなく、割と手放しにオススメできるかな、って思います。
Pearfectは他社の洋ナシの香りよりも再現度が頭一つ出ているので、火の調節に少し難があるものの、やはり香り自体の出来は良いな、と思います。
by ダビデ 2018年9月26日 11:32 PM
アドバイス誠にありがとうございます。陶器製ですとodumanのphunnelとvoltexが手元にあるので試してみようと思います。シーシャを始めてから1年ほど経つのですが、火力や炭の盛り方など画一的な方法でしか作っておらず、まだフレーバーごとに作りかたを変えるといった技術はありませんので頑張ってみようと思います。また質問等したいのですがアドバイスなど頂けたら幸いです。
by Taisuke 2018年9月28日 12:00 AM
すいませんいきなりなんですがRomanのIvory Coastを使用されたことがあればおいしい作り方を教えていただきたいです。aslajさんが絶賛されていたので家で試したところパイナップルが感じれず酸味だけでているような感じでした。たまにレビューでみるゴムっぽが前面にでてしまっていました。これは作り方が悪いのか僕の舌がそう感じさせるのかわかりませんが、ミックスすることでゴムっぽさが軽減されるのでしたらオススメのミックスも教えていただきたいです。
by Taisuke 2018年9月28日 12:18 AM
RomanのIvory Coast、何年も前に少し吸った程度なのでうろ覚えですが、自分もそこそこクセがあるな、みたいな感想でした。身の回りでも好き嫌いが割と分かれた印象です。
Romanは適当に数種類つまんだ程度で、きっちりレビューしておらず、あまり突っ込んだことが言えません。また、レビューのために単体で吸うことがほとんどで、Mixについても引き出しがありません。。。
Mixについては、馴染みの店の歴の長い店員さんに聞くのが一番だと思います。自分も、自分の店のスタッフから学ぶことが非常に多いので。
相変わらず役に立たず申し訳ありません。
フレーバーごとの作り方などは、以下の記事と記事内のリンク先に最低限のことは書いたつもりです。よかったら参考にしてみてください。
「フレーバーごとの作り方の違いについて」
「カットし直すことのメリット・デメリットなど」
「Fumariを作る際のボウルについて」
by ダビデ 2018年9月29日 10:23 PM
いえいえ、大変助かります。そうですね、近くにshisha cafeがあるので聞いてみようと思います。京都の学生のためなかなか東京には行けませんが機会があれば是非ダビデさんのとこにもお邪魔してみたいです。
by Taisuke 2018年9月30日 1:11 AM
その際は是非よろしくお願いします!
by ダビデ 2018年10月1日 12:11 AM